ハチハチ編集部

四国八十八カ所のお遍路あれこれ、情報発信します!

タクシーと歩きの遍路体験レポート

2019.10.11

    はじめまして!
    あなぶきトラベルWebお遍路課 髙嶋 晋之介(たかしま しんのすけ)です。
    昨年10月からお遍路担当になり、バスツアー等のサブ添乗員として現在四国を周りながら日々勉強中です。
    この度新しい歩き遍路を体験するツアー「安心のタクシー&ハイキング」の担当になり、歩き遍路の下見に行ってきました。
    今回のツアーではタクシー+歩きという少し変わった歩き遍路というコンセプトです。

    しかし、私は遍路のいろはの「い」の字も知らない初心者…

    そこで歩き遍路のプロである先達の山田さんと歩き遍路や様々なことを教えて頂きました。
    2日間に渡る歩き遍路の様子をお伝えします!

     

     

    まず向かったのは35番清滝寺。
    普段バスツアーでお参りする場合は、一度バスからタクシーに乗換えて境内まで送迎という形を取りますが
    今回は遍路道を歩きます。

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    急な坂道を進むと長い石段と山門が見えてきました。山門は歩き遍路以外では見ることができません。

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    山門に進み、上を見上げると天井に龍が描かれています。
    先達の山田さんによると、明治時代に門が建立された際に地元の画家・久保南窓が描いたもので、
    どこに立って見ても目が合うという不思議な「八方にらみの龍」だそうです。

     

    35番札所清滝寺を終えると次に向かうのは36番札所青龍寺です。
    今回は35番~36番札所間の遍路道塚地峠を歩きました。

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    「塚地峠」文字通り峠越え、山を1つ越えて歩きます。
    出発地点の塚地休憩所から宇佐まで高低差200m、頂上まで800m、距離にして約4キロの行程です。
    この日は天気も良く絶好の歩き遍路日和でした。約30分坂道を歩くと峠の山頂部分に到達しました。

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    そこから望む宇佐湾は絶景の一言!
    しばらく景色を楽しみながら休憩していると先達の山田さんからせんべいと塩飴を頂きました。
    歩き遍路は水はもちろん、なにか軽く口に入れるものは必須とのこと。大変おいしく頂きました(笑)

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    体力を回復し、下り坂を下りていきます。実は私と山田さんが歩く姿を動画で撮影して頂いたのですが
    山田さんは体幹がピシッと綺麗に歩いていましたが私はグラグラフラフラでした…
    定期的に歩く習慣を付けることが元気の秘訣だそうです。私も見習います!

     

    続いて向かったのは37番札所岩本寺~38番札所金剛福寺の遍路道。
    札所間が100km近くあるまさに「修行の道場」といわれる高知県最大の難所。
    その中間点の「真念庵」という小さなお堂に立ち寄りました。

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    山田さんによるとかつて二十数回四国霊場を巡拝し、各地に道標や遍路宿を建て、四国遍路の普及に努めた真念法師由来のお堂。
    ここで一夜を過ごしたり、荷物を置いて金剛福寺へ。
    また真念庵へ戻って荷物を取って39番延命寺へ向かうお遍路さんにとって重要なお堂だったことが分かりました。
    さらに進むと太平洋を望む沿岸の道に出ました。
    遍路道でも珍しい砂浜を通る「大岐海岸」約二キロある広大な海岸そのものが遍路道になっています。
    浜風を感じ、太平洋の雄大な風景を望みながら歩くととても気持ち良かったです。

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    また、山田さんから「波供養」を教えて頂きました。
    波打ち際で「名前」や願い事(家内安全・健康等)、
    先祖の供養には戒名を書いて波にさらわれることで願いがかなう珍しい体験でした。
    バスでは立寄らない貴重な体験ができました。

     

    1日目最後に訪れたのが34番札所~35番札所に至る遍路道。
    一級河川「仁淀川」沿いの堤防を歩きました。

    山田さんによると、日本一の清流は四万十川と言われているが、現在はこの「仁淀川」のほうが透明度が高いとのこと。
    雄大な仁淀川と夕日を眺めながら歩きました。

     

    取材2日目、最初に向かったのは36番札所青龍寺。

    かつて空海が中国での修行を終えたのち、港から「独鈷杵」と呼ばれる宗教道具を投げてこの山に届いたことから
    山号が「独鈷山」となりました。
    このお寺には空海の師匠「恵果阿闍梨」を祀る「恵果堂」があり中国での修行、空海の伝説が濃く残るお寺です。
    また「青龍寺」ゆかりの有名人がいます。
    モンゴル出身の横綱・朝青龍関です。朝青龍の青龍はこのお寺の名前です。
    青龍寺からすぐのところに明徳義塾高校の留学生寮があります。

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    朝青龍関は明徳義塾の留学生として来日、毎朝青龍寺の階段を走って上がり足腰を鍛えていました。
    そして角界に進んだ後、高校時代毎朝トレーニングした「青龍」を入れています。
    実際に上がると本当に急な坂道で非常に疲れました…

     

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    続いて奥之院まで進みました。
    ここでは奥の院のお堂の前では靴を脱ぎ、裸足でお参りをします。
    非常に神聖な場所、あまり知られていないパワースポットだと感じました!

     

    続いて向かったのは32番禅師峰寺~33番雪蹊寺の遍路道です。

    ここで乗るのが「渡し船」です!

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    高知県が運営する渡し船は長浜渡船場~種崎渡船場を5分で結ぶ無料航路です。
    徒歩・自転車・原付まで乗船可能で地元の足だけでなくお遍路さんの足として使われています。
    かつて廃止の動きもありましたが、地元住民の反対もあり現在も運行中です。
    高知港と浦戸大橋を望みながら短い時間ですが渡船を楽しみました。

     

    さらに沿岸部を歩く!27番札所神峯寺~28番札所大日寺の遍路道。

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    道の駅大山から土佐くろしお鉄道伊尾木駅付近の約3kmが堤防沿いが遍路道に。
    起伏がなく、景色を楽しみながら歩けます。

     

    車を走らせ香川県71番札所弥谷寺へ。
    本堂までは540段の石段がありますが、現在では駐車場から山上バスがあり、本堂付近まで送迎してくれます。
    山田さんによると弥谷寺のある弥谷山は古くから仏や神が宿る霊山として信仰を集め、
    日本三大霊場(恐山、臼杵磨崖仏、弥谷山)の一つにも数えられたそうです。
    亡くなった方の霊が弥谷山を通って仏の世界へ旅立つという霊山信仰の名残が現在も色濃く残っています。
    心霊伝説もあるそうです。
    霊験あらたかな弥谷寺から72番曼荼羅寺に至る遍路道は今までとは違い、竹林の中を歩きました。

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    落ち葉も多く滑りやすい道でした。
    そこで役に立つのが金剛杖!杖を付きながら歩くと安心感も違います!
    何回も歩いていると杖が擦り減ってきます。
    山田さんは歩きで四国を周られているので杖を一度交換したと伺いました。私には想像ができない世界だと実感しました!

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    弥谷寺で今回の歩き遍路下見は打ち止めです!
    かつては山門に名前を書いた木札を打ち込んだことからお四国ではお寺を参る時は「打つ」と言います!

     

     

    ——————————
    歩き遍路はバス、タクシーツアーでは見ることができない景色、体験ができると2日間を通じて体感しました。
    特に峠越えをして臨む宇佐湾の絶景、2キロ続く大岐の浜等通常のツアーでは素通りしてしまう場所が実際に歩けます。
    しかし、歩き遍路はキツイ所も多く歩き通しなイメージがあると思いますが、
    新コースでは歩くコースをピックアップして要所要所で歩いていただき、あとはタクシーで移動というツアーです。
    大きな荷物もタクシーの中でOKです!
    また、山田さんのように歩き遍路のプロがサポートし、様々なことが学べます。
    今回の下見からまだまだ歩き遍路らしい風景が四国にあるということを改めて学びました。

    この新歩き遍路ツアーが本当に良い企画であると今回の下見で確信しました。
    また四国の素晴らしいお遍路の景色・文化を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします!

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